reflex-lab Co., Ltd. / WORKBOOK
WP-02

中小企業のための
DX 業務棚卸しワークブック

「何から手をつければ良いか分からない」を 7ステップで整理します、現場で使えるテンプレート集。

対象
DX を始めたいが、業務の見える化ができていない中小企業の経営者・現場責任者
作業時間
個人で約 2時間、チームで進める場合は 1回 90分 × 2回
著者
有限会社リフレックス・ラボ 代表取締役 澤田洋佑
初版
2026年 6月

このワークブックの使い方

「DX しなきゃ」と分かっていても、何から手をつけるかで詰まる。これは、多くの中小企業に共通する詰まり方です。

理由はシンプルで、自社の業務がどうなっているかを、まだ言葉にできていないからです。

ベンダーや SaaS の話を聞いても、自社業務の地図がないと、それが自分に必要なものかが判断できません。だから「とりあえず聞く」「とりあえずデモを見る」が続いて、決まりません。

このワークブックは、自社業務の地図を 7ステップで作るためのものです。書き込むワークシートをつけてあります。コピーして、紙に書いてもいい。Excel / Google Sheets でもいい。

完璧を目指さなくて構いません。8割の精度の地図でも、ベンダー会話の質は劇的に変わります。

ステップ全体像

Step内容所要時間
1業務をすべて書き出す30分
2業務を「ルーチン度」で 3群に分ける15分
3業務に「人件費の量」を当てる20分
4業務に「定型度」を当てる20分
5マトリクス上に配置します15分
6優先順位を 3つに絞る10分
7各優先業務に「次の 1歩」を書く10分

合計 約 2時間。1日でやるか、何回かに分けるかは、現場の集中力次第です。

STEP 01業務をすべて書き出す(30分)

自社で日常的に発生する業務を、できるだけ細かく書き出します。

コツ
  • 「動詞ベース」で書く。「営業」ではなく「アポを取る」「見積を作る」「請求書を出す」のように分解します。
  • 1業務 = 1行。長い文章は避ける。
  • 完璧を求めない。「あれも書こうか」と迷ったら書く。後で消せばいい。

目標: 30〜 80行くらいになるのが普通です。10行で終わったら、まだ抜けがあります。

ワークシート 1: 業務リスト
No業務名部門 / 担当
01
02
03
...

部門 / 担当は「営業」「経理」「製造」「自分」など、ざっくりで構いません。あとで集計しやすくするためです。

STEP 02業務を「ルーチン度」で 3群に分ける(15分)

書き出した業務を、次の 3群のどれかに分類します。

各業務の右端に A / B / C を付けるだけです。

なぜこれをやるか: ルーチン度が高い業務(A / B)ほど、デジタル化・自動化の費用対効果が出やすいからです。C は手作業のままでも問題ないことが多い。

STEP 03業務に「人件費の量」を当てる(20分)

各業務に、月あたりの所要時間を概算で書きます。複数人でやっている業務は、合計時間で構いません。

書き方の例:

精度は不要です。「これぐらい?」で OK。

ワークシート 2: 人件費の概算
No業務名ルーチン度月あたり時間担当者数
01メールチェックA20h1
02月次レポートB8h1
...

STEP 04業務に「定型度」を当てる(20分)

各業務に対して、次の質問に答えます:

「この業務は、毎回ほぼ同じ手順か?それとも毎回違う判断が要るか?」

5段階で評価:

コツ: 「自分以外の人に任せられるか」を聞いてみる。

ワークシート 3: 定型度
No業務名ルーチン度月時間定型度 (5-1)
01メールチェックA20h4
02月次レポートB8h5
03新商品開発C20h1
...

STEP 05マトリクス上に配置する(15分)

縦軸に「月あたり時間」、横軸に「定型度」をとったマトリクスに、各業務を配置します。

高 ↑ │ │ [I] 自動化候補 [II] 人がやる 月 │ (量×定型) (量×判断) あ │ ←─── ここから手を ──→ た │ つける り 時間 │ 時 │ 間 │ │ [III] そのままで OK [IV] 標準化候補 │ (少量×定型) (少量×判断) 低 │___________________________________ 定型 ←───── 定型度 ─────→ 非定型 (5) (1)

各業務を 4つの象限のどれかに配置します:

STEP 06優先順位を 3つに絞る(10分)

象限 I の業務から、デジタル化・自動化に取り組む 3つを選びます。

選び方の基準:

  1. 失敗しても影響が小さい業務(社内向け、ミスしても致命的でないもの)
  2. やった結果がすぐ見える業務(毎日・毎週のもの)
  3. 担当者が変化を歓迎している業務(嫌々やっている業務は、自動化提案も歓迎される)
ワークシート 4: 優先業務 3つ
優先順位業務名月時間期待効果
1
2
3

STEP 07各優先業務に「次の 1歩」を書く(10分)

選んだ 3業務それぞれに対して、今月中にできる 1歩を書きます。

1歩の例:

「導入する」は 1歩ではありません。1歩は、もっと手前です。

ワークシート 5: 次の 1歩
優先順位業務名今月の 1歩担当期限
1
2
3

よくある詰まりどころと対処

Q. Step 1で 100行を超えてしまった

問題ありません。むしろ良い兆候です。Step 2-4を進めると、優先順位が自然に絞られます。

Q. Step 5のマトリクスで、ほとんどの業務が象限 II に集まった

「全部が判断業務」と感じる業種では普通です。その場合、象限 II の業務を 1つ選んで Step 3をもう 1度やり、業務を「準備」「判断」「実行」に分解してみてください。「準備」と「実行」は意外と定型化できます。

Q. Step 6で 3つに絞れない

「失敗しても影響が小さい」基準で機械的に選んでください。後から入れ替えられます。3つ並べないと、結局どれも進みません。

Q. Step 7の「1歩」が思いつきません

「現状を録画する」「ベンダーにデモ依頼する」「同業他社の事例を 3件探す」のどれかで OK です。完璧な 1歩は要りません。

このワークブックを終えたあと

3ヶ月後にもう 1度同じワークをやると、マトリクスの配置が変わっているはずです。「象限 I だと思っていたら II だった」「象限 III だったが、急に時間が増えて I に来た」など、業務の実態が見えてきます。

DX は 1回でゴールに着く類のものではありません。半年に 1度、業務地図を更新する習慣がつくと、それ自体が「DX が回っている状態」になります。

そして、AI 時代にも DX の現場でも、私たちが忘れないことがあります。AI は指示通りを最短で仕上げる道具。案が出た後、「本当にこれが優先か」「もっと良い切り口はないか」を追いかけるのは、いつも人間の仕事です。この執念、成果物に乗り移る「魂」の部分だけは、AI が速くなっても代替されません。DX が「回っている状態」の正体は、この追いかけを止めない姿勢のことだと考えています。

「ワークを進めてみたが、ここから先がわからない」と感じたら

リフレックス・ラボでは、このワークブックを用いた DX 入門研修・業務棚卸し伴走を行っています。

  • DX 入門研修(単発 10万円〜 / 回)
  • 業務棚卸しからの DX 戦略立案(プロジェクト 20万円〜)
  • 月額伴走サポート(月 5万円〜)

初回 30分は無料 / Zoom で承ります。「概算だけ知りたい」段階のご相談も歓迎します。

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