困っていることを
聞かせてください。
制作会社への発注に慣れていない方、何から伝えれば良いか迷う方へ。ご相談の前に、5分だけお時間をいただければと思います。
20年このデザイン事務所をやっていて、何度か同じ場面に出くわしてきました。
久しぶりにかかってきた電話の向こうで、誰かが少し急いた声で「とにかくチラシを 1,000枚刷ってほしい」と言う。理由を伺うと、答えはたいてい一つ。「知り合いに、そろそろチラシでも撒けばと言われたから」。
「どんなお客様に何を届けたいですか」と尋ねると、空気が少し変わります。「いや、そういう込み入った話じゃなくて、とにかくチラシで」。経営は忙しく、判断は早い方がよくて、誰かに言われたから動こうとしています。それだけです。悪気はありません。
でも、そのチラシは、刷ってもおそらく効きません。なぜか。その答えは、このページの中盤で明らかになります。
「手段から逆算する依頼」は、それ自体が高くつく
中小企業からのご相談で一番多いのが、手段から逆算してくる発注です。
「チラシを 1,000枚」「web サイトをリニューアル」「Instagram を始めたい」「動画を 1本」。どれも具体的で分かりやすく、ご依頼者にとっても安心できる発注の形に見えます。
ところが、この形でいただく案件の、感覚として半分以上は、最初に指名された手段が、本来やるべきことではありません。実際にあった例だけでも、こんな話があります。
どれも最初は「チラシをください」「サイトを直してください」とお声がけいただいた案件です。
手段から逆算する依頼の難しさは、外しているときの損が大きいこと。1,000枚刷ったあとで「本当は要らなかった」と気付くのは、お互いにつらい。だからこそ、reflex-lab は最初に手段ではなく、もう一段奥の話を伺うようにしています。
医者にかかるとき、私たちは「治療法」を指定しません
例えで考えると、わかりやすくなります。
医者の前に座って、「では、抗生剤を 1週間分ください。それで 5,000円でお願いします」と治療内容を指定する患者は、まずいません。
伝えるのは、いつも「症状」です。
医者はその症状を聞き、必要なら触診し、検査をして、頭の中でいくつかの治療方針を比べてから、一つを選びます。
なぜ患者は医者に「治療法の選択」を任せられるのか。それは、医者がそれまでに見てきた、何百・何千の症例の感覚を持っているからです。似た症状でも、年齢や体質、持病、生活習慣で、最適解はまるで変わります。それを瞬時に判断できる経験があるから、安心して任せられる。
ここで大事な観察は、「症状を伝える側」と「治療を判断する側」が分業しているからこそ、無駄が出ないということです。患者が「抗生剤を」と治療法を指定し始めた瞬間、医者の経験は活かされなくなります。
制作会社も、同じ仕組みで動いています
制作の仕事も、構造はまったく同じです。
「症状」にあたるのが、お客様の事業の状況。「治療法」にあたるのが、作る制作物や打つ施策です。
ですから、ご相談の最初に伺いたいのはこういうことです。
どんな事業を、どんなお客様に届けたくて、いま何が思った通りに進んでいないのか。
これにあわせて、予算の目安と、いつまでに変わっていたいか、を伺います。それで現状の輪郭は、だいたい掴めます。
そのうえで reflex-lab から、対応策の選択肢を 2〜 3つほどお出しします。たとえば、こんな出し方になります。
選ぶのはお客様です。でも、判断の材料として「20年で見てきた似たケース」を並べられる。これが、医者と同じ働き方の意味です。
「ツールを当てる」のではなく、「事業のスケールに合わせて、現実的な解き方を一緒に組み立てる」。そのやり方の方が、結果としてお客様の支出は減り、効果は上がります。
修正のときは、reflex-lab を料理人と思ってください
ご納品後の修正でも、同じ考え方が効きます。
シェフが作ったチャーハンが、自分の好みより薄味だった場合、お皿を返すときに「では、味の素を小さじ 1入れて、火力を 200℃ にして再加熱してください」と細かい手順を指定する方は、あまりいないと思います。
伝えるとしたら、こんな言い方になるはずです。
料理人はそこから自分の引き出しを開けて、調味料を変えるか、火を入れ直すか、別の食材を足すか、最適な手を選びます。「症状を伝える側」と「処置を選ぶ側」を分業した方が、ほぼ確実に結果が良くなります。
制作物の修正も同じです。「もう少し動きが欲しい」「全体に固い印象がある」「社長がここで引っかかった」——困っている点を率直に伝えていただければ、reflex-lab が過去の経験から、最適な手を選びます。
ここでひとつ、率直に書かせてください。「青を 30% 薄く」「ここのフォントを 2pt 大きく」のような、デザインそのものへの具体的な指示は、実はあまり歓迎していません。
悪気の話ではなく、構造の話です。デザインの最適手は、紙面全体・媒体・読み手・前後の文脈をまとめて見ないと選べません。デザイナー以外がこの最適化を頭の中で行うのは、料理人以外がフライパンの中の最適化を頭で行うのと同じくらい、無理があります。
一方で、確定情報——会社名の正確な表記、ロゴデータ、商品の正確なスペック、入れたい固有名詞、絶対外せない期日、社内で NG とされる色や言い回し——こうしたものは、できる限り早く・正確にいただきたい部分です。「動かせない事実」は正確に、「どう仕上げるか」はこちらに任せていただくのが、結局いちばん早く・いちばん良い結果になります。
ご相談時にあると助かること
完璧な情報は要りません。下記のうち、答えられるものだけお話しいただければ十分です。
- 何で困っているか(一番大事) 「思っていたほど反響が出ない」「採用がうまくいっていない」「社員が情報を更新できなくて止まっている」など、症状そのものを率直に。
- どの事業 / プロダクトの話か 会社全体の話か、特定のサービスの話か、新規事業の準備か。
- 誰に売りたい・誰に届けたいか 業種・年齢・地域など、ざっくりした輪郭で構いません。「都内の 40代経営者」「地元のリピーター」のような言い方で十分です。
- いつまでに変わっていたいか 「3ヶ月後の繁忙期前まで」「来年度の予算が動く前」など、外せない時期があれば。
- 予算の目安(「決まっていない」も OK) 上限の目安があると、現実的なご提案がしやすくなります。逆に「上限不明」のままだと、当て推量で外れた提案になりやすい。
特に最初の「何で困っているか」だけは、できるだけ正直に伝えていただきたい部分です。正直な「困りごと」が、reflex-lab の 20年の引き出しから最適解を取り出すためのカギになります。
言葉になっていない段階でも、構いません
「相談したいけれど、まだ言葉になっていない」というご連絡も歓迎です。
むしろ、社内できれいに整理しきってから持ち込まれた依頼より、ぼんやりした段階で一緒に整理していく案件のほうが、結果が良いことが多い。整理する過程で、最初に思っていた手段とは違うものが、本当の答えだったと分かることがよくあるからです。
整理しすぎる前に、まずお声がけください。お話を伺いながら、症状を言葉にしていくところから一緒にやります。
それが、初回相談 30分の時間です。
もう 1つ、reflex-lab が手を離さないことがあります。AI が最短距離で案を出してくる時代になった今、私たちの仕事は「そこから追いかける」ことに寄っています。
もう少し良い写真はないか、別の切り口はないか、もっと事業目的に近い形はないか——案ができた後にも満足せず追いかけ続ける、この執念の部分だけは AI では代替されません。
ですから、初回相談で「まだ言葉になっていない状態」でお声がけいただくのは、実はいちばん良いタイミングです。追いかける方向を、一緒に決めるところから始められます。
では、お気軽にご相談ください。
困っていること、考えていること、ぼんやりした不安。
言葉になっていない段階でも、まずお声がけください。