2025.02.20 · デザイン · 読了 7分 · 澤田洋佑

AI でロゴを作ると商標で問題になる?正直な話

「Midjourney でロゴ作ったら商標通る?」というご相談、ここ 1年で本当に増えました。
結論から言うと、リスクはあります。でも、対処法もあります。デザイン業界に 20年いる立場から、煽りも美化もせずに整理します。

AI ロゴの「商標衝突」リスクの実態

まず前提として、AI は既存ロゴを学習データに含む可能性があります。OpenAI の DALL-E も、Midjourney も、Stable Diffusion も、世の中に出回っている膨大な画像から学習しています。その中には、当然、既存の登録商標も含まれています。

これが意味するのは、AI 出力が、既存登録商標と「偶然似てしまう」可能性がゼロではないということです。

実際、2024年以降、世界で何件か「AI 生成画像が既存商標に似ていた」という報告が出ています(公開情報の範囲で)。日本でも、商工会議所などで「気をつけたほうがいい」という啓発が始まっています。

「絶対」とは言えませんが、リスクは確実に存在します。

当方の進め方: AI は「アイデア出し」、最終造形は人間

では当方がロゴ制作で AI をどう使っているかと言うと、AI 出力を直接ロゴにしません

具体的には、こんな進め方です:

  1. AI でアイデアの方向性を量産:Midjourney などに「○○な雰囲気のロゴ案」を 50件くらい出させる
  2. 人間が「方向性」だけ拾う:「この色合い」「この形状の方向」「このシンボリック要素」など、要素レベルで抽出
  3. その方向性をベースに、人間がベクター造形:Adobe Illustrator などで、ゼロから手で描く
  4. 商標予備調査:完成形が既存商標と似ていないか確認

AI が出した「画像そのもの」をロゴにしないので、衝突リスクは大幅に下がります。これは AI 専業の生成サービスより、デザイン会社のほうが(多くの場合)安全な進め方ができる理由でもあります。

補足: AI 出力をそのままロゴにすることが「絶対にダメ」というわけではありません。たです、商標として法的に保護したい意向がある場合、AI 出力をそのまま使うのは、不要なリスクを背負う行為です。

商標調査のステップ

ロゴが完成したら、商標として使うために下記の調査をします。

1. J-PlatPat での自己チェック

特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で、近い意匠の登録商標がないか自己チェックします。無料で誰でも使えます。完璧ではないですが、明らかな衝突は防げます。

2. 画像検索での類似探索

Google の画像検索や、TinEye などのリバース画像検索で、完成形が既存ロゴと類似していないか確認します。

3. 弁理士による正式調査

商標出願を本気でする場合、弁理士に予備調査を依頼します。費用は 5〜 15万円程度。これは「保険」として有効です。当方の協業先弁理士をご紹介可能です。

4. 業種別の調査

同じロゴでも、業種が違えば商標として共存できる場合があります(商標は業種ごとに登録)。逆に、近い業種では衝突しやすい。出願業種の整理が要ります。

「AI で作りました」と言わない方がいい?

これもよく聞かれる質問です。結論: 言う必要はないが、隠す必要もないです。

「AI で作りました」と公表すると、一部のユーザー・取引先から拒否反応が出る場合があります(職人気質の業界では特に)。一方で、いまどき AI を一切使わずに制作している業者は珍しいので、隠そうとすると逆に不誠実に見えることもあります。

当方のスタンスは:

当方の提供範囲

ご相談時によく確認される項目をまとめます。

まとめ

AI ロゴの商標リスクは、「AI を使うかどうか」ではなく、「どう使うか」で決まります。

怖がりすぎず、でも依存しすぎず。AI を量産部分の道具として使い、最終判断と造形は人間が担う。商標が大事な場面では、弁理士など別の専門家にも頼る。

これを丁寧にやれば、AI 時代のロゴ制作も、20年前のロゴ制作と同じくらい安全に進められます。

もう 1つ、AI 時代の制作で当方が忘れないようにしていることがあります。AI は「候補を量産する」ところまでを、速くこなす道具です。案が出た後、「もっと良いバランスはないか」「別の切り口はないか」を追いかけ続けるのは、いつも人間の仕事。この執念、成果物に乗り移る「魂」の部分だけは、AI が速くなっても代替されません。商標が大事な場面は、その執念を働かせるべき最たる場所です。

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